2007年 07月 15日
本はレビューすんのめんどいので、最近読んだものをまとめてがーっと。
・ソロモンの指輪(コンラート・ロレンツ) 有名な動物行動学者・ロレンツ先生の愛情溢れる本。あくまで観察者の目線でいながらも、動物たちと果敢に関わるその姿勢に笑い混じりの感動を覚えた。 カラスになつかれ、口の中に虫を入れられるくだりがたまらん!(食べないと鼻の穴に入れられる) ・マクベス(シェイクスピア) シェイクスピアの中だと一番好きかなあ。超王道の悲劇…って、その王道を作ったのは彼の人なのですが。 マクベスの破滅の原因って、単純に自身の心の弱さだよな。犯罪であろうが正義であろうが、他人の意見に流されて起こす行動なんてすぐに駄目になるに決まってる。 ・不死の人(ルイス・ホルヘ・ボルヘス) 『アステリオーンの家』っていう短編がものすごく面白かった! アステリオーンでピンと来る人はかなりのギリシャ神話通。アステリオーンとはミノタウロスのこと。つまり、アステリオーンの家=ダイダロスの迷宮というわけ。 あとは読んで欲しい。 テーセウスが救済者だなんて! ・蝿の王(ゴールディング) 暗黒『十五少年漂流記』。人間というものがどれだけ残酷で自己中心的で愚かなのか、そして集団意識というものがいかに人間の判断力を失わせるのか。読む者をじわじわと絶望の淵に追いやる劇薬小説。後味悪すぎる。大好き。 しかし少年達あまりに馬鹿すぎないか…と疑問に思うこともしばしば。日本の子供だったらもうちょっとなんとかなっていたような気はします。 ・風姿花伝(世阿弥) 自分的日本ブーム到来!なので、手に取った一冊。 能の理論書だが、能に限らず芸術一般を志す者にとって役にたつ本だと思う。 背筋が伸びたぜ。 ・武士道とエロス 日本っていうのは古来より男色文化の濃いお国柄でありまして…江戸時代はそれがなおいっそう華やかに芽吹いた頃でもありました。その理由や歴史的背景、当時の文化世相などを論じた本。いやーおもしろかった。 ・神様のパズル(機本伸司) 「宇宙は造れるのか」を命題にしたハードSF。だが、表層はなぜかラノベ風味。 天才物理学者の少女穂水(ホームズ)と、冴えない理工学部学生の綿さん(ワトソン)が活躍するミステリと読むことも出来る。 物理学的なウンチクは非常に面白かったが、小説的カタルシスはいまひとつ。 ・シャングリ・ラ(池上 永一) 近未来の日本を舞台にしたバイオレンス環境問題SFなんだけど、最後のオチがなんとも右っぽくて笑った。 最強の戦闘能力を誇る美貌のオカマ─ロケットおっぱい─モモコさんのキャラが立ちすぎてて、主人公の超能力少女国子がかすむかすむ。 ストーリー的には「炭素税が導入された世界」とそれを利用して儲けようとするカーボニストたちの暗躍、そして東京に作られた巨大な空中都市『アトラス』を巡るテロリストと政府の戦い─。アトラスに秘められた謎とは、いったい何なのか…? って感じ。 途中ややグロい。 面白かったけど、論理が破天荒すぎてノリきれない部分があったぜ…。 例)光学迷彩が出てくるんだが、単に色を真似るだけでなく、素材そのものが変化する。山がいきなり銀座の町になったりする(幻影でなく本物)=炭素原子の結合を瞬時に変えることができるから。 えええええええ……。 わりとどんなトンデモ設定でも平気な私だが、きちんと騙してくれないと入り込めないYO! ・RIKO(柴田よしき) ・聖母の深き淵(柴田よしき) ・月神の浅き夢((柴田よしき) ・聖なる黒夜 上・下((柴田よしき) この5冊はほんとむさぼるように読んだ。 全部で3000ページ近くあったけど、徹夜に近い勢いで読んだ。 感想とか一言で言えないんだけど……山内練っていう人間を生み出してくれて本当にありがとう…とだけ。 うう……あいつほんとに好きすぎる……好きすぎて胸が痛い。 ■
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by mirimix2006
| 2007-07-15 02:48
| BOOK
2007年 06月 29日
※読書記録もつけることにしてみた。
『仮面の告白』を読んで「あんま好みじゃねーな」と、『禁色』も『長すぎた春』も積読してる私だが、ふと手に取ったこの本は、本当に面白かった。 ストーリーもさることながら、心情描写や風景描写が素晴らしく、読み終わった頃には付箋だらけになっていた(※良い表現には付箋を貼って、後で書き写すのです)。 何より主人公・清顕のいささか歪んだ性格に、ひじょうううに共感を覚えた。 あいつ、高校時代の私、なんじゃね? と思うほどに。 明るく正しい幸せよりも、薄暗い不幸せ、もしくは破滅と表裏一体の幸福を選択するところなど、中二病(wiki参照)と言えなくもないが、一度でも「退廃の美学」「刹那のうつくしさ」「禁断の蜜」というものに取り憑かれたことのある者なら、清顕の思想は容易に理解できることと思う。 腐女子的観点から言わせてもらえば、本多との旧制中学的関係は非常に萌ゆる。 「貴様」とか呼び合うのは硬質な色気があっていいな! ■
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by mirimix2006
| 2007-06-29 19:27
| BOOK
2007年 06月 18日
![]() ユアン・マクレガー 【あらすじ】 精神科医のサム・フォスターは、謎に満ちた若い男性患者ヘンリー・レサムを担当する。ヘンリーは死にとらわれており、自分は3日後に自殺すると予告した。そして、サムにはもうひとり気がかりな相手がいる。画家であり、同棲中のガールフレンドのライラだ。彼女はサムの元患者でかつて自殺未遂をおこしており、彼女の不安定な精神状態はサムの精神的負荷でもあった。サムは彼女を愛しており、結婚指輪も買っているにもかかわらず、ずっと渡せないままだ。ヘンリーはその指輪に異常な興味を示す。そんなライラもまた、自殺願望のあるヘンリーに深い関心を持つ。ある日、ヘンリーが忽然と姿を消した。不安を隠せないサムは、必死にヘンリーを探し回るのだが……。(amazonより) 【感想】 んー? リンチの『マルホランド・ドライブ』に似てると言われているらしいが、リンチの練りに練られたシナリオと比較すると、イマイチ感が否めない。 次第に虚構が現実を侵食していく様子は、見ている者の不安をかきたてるが、登場人物の誰にも感情移入できないため、すべてが夢の中の出来事のような距離感がある。 一言でいえば、感情の揺さぶりがない。 『マルホランド…』中盤の「泣き女」のシーンであまりの切なさに号泣した私だが、この映画も同じ切なさを内包しているにも関わらず、泣くことはできなかった。 もうちょっと上手く出来たんじゃないかなあ…と残念な一本。 この間友達と、同じデイヴィッドでもリンチは「理性的」で、クローネンバーグは「狂人」だよねって話をしたよ。 リンチの世界にどっぷり浸れるのは、彼がマトモだからじゃないかなあと。 クローネンバーグは、時々何万光年も置いていかれる感じがする。 (まあクローネンバーグはそんなに観てないんだけどね!) (裸のランチは挫折した) ■
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by mirimix2006
| 2007-06-18 21:41
| サ行
2007年 06月 17日
![]() フェリシティ・ハフマン 【ストーリー】 かねてから男性であることに違和感を持つ"トランスセクシュアル"のブリーは、LAで女性として慎ましく暮らしていた。そして念願だった"本当の女性"になるための手術を控えた彼女に、ある少年がNYで警察に捕まったという連絡が入る。それは、ブリーがかつて"スタンリー"という男性だった17年前に生まれたという実の息子・トビーだった。想像もしなかった自分の子供の存在に戸惑うブリー…。 この件を整理するまでは手術が受けられなくなったブリーはNYへ。顔を合わせた2人はひょんなことからNYからLAへの大陸横断<トランスアメリカ>の旅に出ることになる。ブリーは女性として自分が父親であることを隠したまま、トビーは俳優という夢を追いかけ、そしてまだ見ぬ実の父親を探すために…。(amazonより) 【感想】 ロードムービーってあんまり好きじゃないんだけど(「グランドホテル」形式=場所固定のほうが好き)、これは面白かった! 綺麗な女優さんがトランスセクシュアルの中年男性を演じるっていうところからもう、興味深々!なわけですが、彼女の演技が非常に良くて、すぐに女性だということを忘れてしまったよ。 ブリーと、息子トビーとの心の交流もいい! 彼女にはトビーに隠さなくてはいけない秘密が2つあって、ひとつは「男性であること」もうひとつは「父親であること」。 養父に性的虐待を受けていたトビーにとって、実の父親は憧れであり、救いだった。だからその父親が「目の前の女装の男」であってはいけないわけです。 トビーはやがてブリーに対して恋愛めいた感情を抱くんだけど、ここで起こる悲劇といったら! 真の悲劇というものは得てして喜劇性を含んでいたりするけれど、この瞬間の二人の関係はまさにそれ。 観ているこっちは泣いていいのか笑っていいのかわからない。 ラストの締め方とか、ヨーロッパ映画っぽい雰囲気もあって好きだなあ。 トビー役のケヴィン・ゼガーズはリバーの再来とか言われてるみたい。 繊細な美形で、青春の匂いを身にまとってる感じ!ものっそ可愛いです。 ■
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by mirimix2006
| 2007-06-17 12:30
| タ行
2007年 06月 16日
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by mirimix2006
| 2007-06-16 19:40
| レビュー未
2007年 05月 26日
![]() 出演: サンドラ・ブロック, ドン・チードル 監督: ポール・ハギス ロサンゼルスでの2日間の人間ドラマを、心に突き刺さるほどの「クラッシュ」とともに描いていく。登場人物は、地方検事とその妻、黒人刑事と同僚でスペイン系の恋人、TVディレクター夫妻、雑貨店を営む家族、鍵の修理屋など、さまざまな階層・人種。職業だ。 無関係のようにみえた人々が、人種間の偏見、そこから生まれる憎悪が引き起こす事件によって結びつけられる。急展開ながら、登場人物の交通整理のうまさに引き込まれるのだ。警官からセクハラまがいの仕打ちを受けた女性が、その後、彼と思わぬかたちで再会するシーンなど、何カ所か、本当に背筋の奥までゾクッとさせるショッキングな描写もある。俳優たちも、ほかの出演作とは明らかに違う迫真の演技を披露し、最後まで観る者の目を釘付け。全編に漂うのは、いまだに差別に満ちたアメリカの現実だが、ラストシーンでわずかに残される希望が、静かな余韻を残す。(amazonより) ■
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by mirimix2006
| 2007-05-26 23:04
| レビュー未
2007年 05月 02日
![]() 出演: ティム・ロビンス, モーガン・フリーマン, ウィリアム・サドラー, ボブ・ガントン, ジェームズ・ホイットモア 【あらすじ】 スティーヴン・キングの『刑務所のリタ・ヘイワース』を映画化したのが本作である。妻とその愛人殺しの容疑で終身刑の判決を受ける、銀行マンのアンディ。無実の罪ながら投獄されるが、決して希望を捨てず、自由を得られる明日を信じ続ける。一方、古株の囚人レッドはそんなアンディに、「刑務所で希望をもつのは禁物」だと忠告する。アンディとレッドの友情を中心に、ショーシャンク刑務所で生きる男たちのさまざまな人間模様を描いていく。人生の不条理や悲しみを問いかけながらも、たどり着くラストシーンは見る者の胸をさわやかに、だが強く打つ。 (amazonより) ■
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by mirimix2006
| 2007-05-02 23:31
| レビュー未
2007年 05月 02日
2007年 03月 11日
![]() 出演: タキス・ゼルヴラコス, ジョージ・コラフェイス 【あらすじ】 現代のギリシャ。天文学者のファニスのもとに、トルコから祖父がやってくると連絡が来る。 そしてよみがえる少年の頃の日々──スパイスとともにあったあの時代を。 トルコとギリシャの紛争時代を背景に、少年の成長や家族との愛を描いたヒューマンドラマ。 【感想】 オープニング直後の、塔の上で男の人がアザーンを歌っているシーンから心を掴まれる。 舞台はトルコ。 イスラム圏の空気最高です。 スパイス屋を営む祖父と少年の心の交流がストーリーの基軸となる。スパイスを宇宙になぞらえるシーンが印象的。 すべての中心に位置する太陽は胡椒、金星はセクシーなシナモン……。 スパイスでいっぱいの屋根裏部屋で過ごすうちに、少年は料理の才能を目覚めさせていく。 ここで出てくる料理がみんなおいしそう! シナモンを入れた肉団子の味は想像がつかないけど、茄子の中にスパイスをきかせた挽肉を詰めた料理は私も作ってみたい。 しかし少年時代というものは、得てしてほろ苦い痛みとともに終わりを告げるもので、ファニスの場合もギリシャへの強制退去という悲しい出来事とともに、料理を作ることを禁止され、慣れ親しんだ言葉とも別れを告げなければいけなくなる。 そしてなにより、愛する祖父や幼馴染の少女との別れがあった。 少女のことを忘れられないファニスは、家を抜け出し汽車に飛び乗るが──。 このあたりの描写が繊細ですごくいい(両親への抵抗としてバスルームに住んでしまうファニスが可愛い)。 悲しい出来事もみんなどこかユーモラスに描かれているせいで、悲愴な感じがまったくない。ある意味、ギリシャ人の性格が出ているのかも。 ただ、少年時代がすごくよかっただけに、幼馴染の少女と再会してからの大人時代はどこか平凡に思えた。 ありきたりのハッピーエンディングにしなかった点は高評価だけど。 地味だけどすごくいい映画です。 おすすめ。 ■
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by mirimix2006
| 2007-03-11 00:43
| タ行
2007年 03月 11日
![]() 出演: ケビン・スペイシー, アネット・ベニング 監督: サム・メンデス 【あらすじ】 娘の友達(ビッチ系)に熱をあげる父親、浮気に精を出す母親、隣人の盗撮男に恋をする娘。 幸せな中流家庭の中で起こる愚かな人々の愚かな行為とその結末。 【感想】 あらすじを読んだときは、もっとトッドソロンズ(『ストーリーテリング』)とか『ルールズ・オブ・アトラクション』系の悲惨な話だと思ったんだけど、実際はもうちょっとマシだった。むしろ救いのある話でよかった。 ストーリーは確かに悲惨。でも、見終わった後にすごく清々しい気持ちになる不思議な映画。 基本的には、ユーモアを交えつつアメリカ社会の歪みを描く…っていうのが表向きの顔なんだろうけど、私には傷つき損なわれた魂とその救済(解放)の話に思えた。 ケビン・スペイシーは、映画のはじめでは明らかにゲス男だったのに、物語が進むにつれ変わっていって、最後には本当の自分を取り戻す。 「幸せ?」と聞かれて「幸せだ」と答えた彼の気持ちは、嘘ではなかったはず。 最後の瞬間、彼は確かに人間として再生していたのだ。 隣人たちもいい味を出していた。 ゲイの自分を認められず攻撃的になってしまう男のどうしようもなさにもときめいたし、平凡に見られたくないという虚栄心からビッチを演じていた少女の純情にも萌えた。 人間は弱く醜いが、それでも誰かを愛することが出来るし、誰かを救うことも出来る。 結局人間は人間と関わってしか生きていけない。 そういう簡単なことがわからなくなっている現代人への警鐘の意味もあるのかもしれない。 アメリカ中産階級が描き出す悲劇の根源的なテーマは、『愛情への飢え』なんだろうな。 まあ見る人を選ぶ映画ではあったかなー。 私は好きです。 アメリカ文学好きにはおすすめ。 ■
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by mirimix2006
| 2007-03-11 00:11
| ア行
2007年 02月 27日
![]() 出演: ドキュメンタリー映画, マイケル・ムーア 監督: マーク・アクバー 企業を人間に例えると、完全なサイコパスになる…っていうくだりが面白かった。 他人の気持ちをかえりみない、関係を持続させることができない、利益のために平気で嘘をつく、道徳心がない…など。 たしかに友達にはなりたくないタイプです。 しかし人間ってほんと目先のことしか見えない近視眼的な生き物なんだなあ…。 サステイナビリティの重要性がうたわれて久しいが、単なる流行(ロハスみたいな)に終わらなければいいな。 私も脱科学物質するために合成シャンプーやめたり、石鹸手づくりしたりしてるけど、個人のできることなんてたかがしれてるしな。洗濯はまだ合成洗剤だし。 自分一人の努力で森やうさぎや川が救えるなら、いくら不便でも頑張れるんだけど、目に見えないがゆえに諦めてしまいがち。 未来が不安ですたい。 ■
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by mirimix2006
| 2007-02-27 12:47
| サ行
2007年 02月 22日
![]() 出演: アシュトン・カッチャー, エイミー・スマート 監督: エリック・ブレス 【あらすじ】 「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる」という有名なカオス理論の原理をタイトルに冠した映画。 時折記憶が飛ぶという現象に悩まされてきた主人公エヴァン。大学生になったある日、彼は子供のころの日記を読み返し、自分の過去に起こった出来事を変えることができることに気づく。だが、うかつに過去を変えたせいで、幼馴染の少女ケイリーは死んでしまう。 ケイリー、そして彼女の兄トミー、友人レニー…仲間の幸せを願い、エヴァンは過去へのダイヴを繰り返す。 それがさらなる悲劇へと結びつくことも知らずに。 【感想】 あー、こういうSFダイスッキ!! 正直【ドニーダーコ】を先に見てなかったら、マイベストSF3位内に入ってたんじゃないかなあ。 (作品のテーマとかタイムリープの使い方とかラストとかが非常に似てる) タイムリープ(リセットもの)を観るたびに思うのは『あのとき中途半端に放り出された時間軸の人たちはどうなったんだろう』ってこと。 おそらく無数の平行宇宙のひとつとして継続しているんだろうけど、それはそれで悲しい。というより、考えたくない。 リセットものを楽しめるのは、データが上書きされていると仮定するからで、もし別バックアップなのだとしたら、素直に喜んだりできないな……。 途中、エヴァン以外が、全員幸せな世界へとたどり着く。 そのときの彼の表情が胸に迫る感じで、すごくよかった。 「きみの気持ちはよくわかるよ。うんうん。人間なら誰でもそうするって!」と言ってあげたい。 ラストがもーのーすーごーくー私好みなので、しばらく妄想して楽しめそうだな! ■
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by mirimix2006
| 2007-02-22 00:30
| ハ行
2007年 02月 22日
![]() 出演: イ・ヨンエ, チェ・ミンシク 監督: パク・チャヌク 【あらすじ】 『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』に続く、パク・チャヌク監督による「復讐3部作」の完結編。今回、復讐する主人公は、美しい女性だ。無実の罪で13年の刑期を終えたクムジャが、自分に罪を着せた男に対し、壮絶極まりない復讐計画を企てる。刑務所内での“親切”な行為によって、協力してくれる仲間を得た彼女は、ついに、その時を迎え…。離ればなれになっていた娘との関係など、クムジャの切ないドラマも同時進行していく。(amazonより) 【感想】 なんとなく「下妻物語」の監督を思い出させる映像。 ただの復讐ドラマだと思って観たらかなり予想を裏切られる。 クムジャさんの無表情さと、美人というよりは薄幸そうな顔の作りがむしろストーリーの凄惨さを際だたせている。 刑務所で行われるクムジャさんの「親切」も度を超していてすごいよ! 嫌な女囚に2年間も漂白剤を飲ませ続けたり(気付けよ!)肝臓移植してやったり。 クムジャさんは、それをただひたすら淡々とこなしていくので、復讐という言葉から受ける熱や激情はまったく感じられない。 まるで機械か何かを組み立てているみたいだ。 でも娘のことになると途端に人間らしくなるクムジャさん。かわいい。 復讐相手の男は完全な異常者なので、罪悪感にさいなまれたりはしないんだけど、自分があの立場に置かれたらと思うとぶるっとした。 ■
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by mirimix2006
| 2007-02-22 00:01
| サ行
2007年 02月 12日
直前にツヴァイクの『マリー・アントワネット』上下巻を読んでたので、ああ、あのシーンね!とかすぐにわかって楽しかった(この本超おすすめ)。
うまくまとまっててテンポもよかったけど、首飾り事件のことがまるっと省略されていたし、王妃がなぜあんなに国民や貴族に憎まれるに至ったかがほとんど描かれてないので、歴史物映画として観るにはアレだなーと思いました。 でもたぶんソフィアはそういうのが描きたかったわけじゃなくて、一人の女の子としてのマリーを映像化したかったんだろうな。 しかし、ルイが結構マリーにかまっていたので、あれでは王妃の孤独感が伝わらないんじゃないかなーとは思った。 キルスティン可愛いけど元気すぎるというか、強い現代ッコっぽく見えちゃうんだよね。 それも良いといえば良いんだけど。 それにしても、マカロンカラーで埋められた画面は、たいへんに心弾みました。 あーあんなデザインしたい。 ソフィアは女子の心を掴む術をよく知っておる…。 オペラも観に行ってみたいなあ。 あと音楽ね! はじめて宮殿に入るところで、AphexTwinがかかってキュンとした。おおきなステレオでAphex聞くとぞくっとするなあ。 宮殿走るところのstrokesも一緒に歌っちゃったし(あーいわなびーふぉがーとぅーん)、なんだかシューゲイザーっぽい良い曲…と思ったらマイブラのケヴィン・シールズがリミックスやってたり。 ロスト・トランスレーション(観てない)でもケヴィンの新曲(これってすごい衝撃だった!)使ったりしてるし、ソフィアとは音楽の趣味が合うな。 ていうかTHE RADIO DEPARTMENT最高!!! http://www.youtube.com/watch?v=tvzOBTqMHLs 彼方から聞こえてくるような声と、歪んだノイズギターの甘い旋律!夕暮れ前、ほとんど誰もいなくなった海岸を振り返り振り返り帰るときのあの気持ち。足に触れる砂は熱いのに、風が少し冷たくてなんだか寂しくなるようなあの気持ち。 あれですよ! 思わずアルバム購入しちゃった。 あれ、なんか音楽談義になってる。 ■
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by mirimix2006
| 2007-02-12 15:50
| マ行
2007年 01月 13日
![]() 出演: ジェラール・ジュニョ, フランソワ・ベルレアン 監督: クリストフ・バラティエ 【あらすじ】 戦後すぐのフランス。 問題児ばかり集めた寄宿学校に赴任してきた舎監クレマン・マチューは、独裁者的な校長の教育に反発し、生徒たちに本来の姿を取り戻してもらおうと考える。 クレマンは音楽教師の経験を生かし、子供たちにコーラス隊を結成させるが、一番の問題児ピエールが、実は素晴らしい声を持っていることを発見する。 【感想】 フランス映画っぽい雰囲気はしっかり残しつつもダルさはなく、予測できるオチへと向かいつつもハリウッド的なそれではない、というとても素晴らしい映画。 ちょっとしたウィットと温かさが随所に込められていて、にこにこしながら涙ぐみました。 特にラストシーンが素晴らしい。 子供たちとの別れのシーンもさることながら、『その日は土曜日だった』って一言に胸キュンでしたわよ。 そして子供たちの歌声が最高です。 CDほしい。 みやのんが声をあてていたので、思わず吹き替えで見ちゃったい。 (しかしあんな※役だとは思わなかったじぇ……もっと王子系だとばかり…) ※札付きの不良。ご面相はあまりよくない。 ■
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by mirimix2006
| 2007-01-13 20:47
| カ行
2006年 08月 22日
![]() nothing 出演: デビッド・ヒューレット, アンドリュー・ミラー 監督: ヴィンチェンゾ・ナタリ 【あらすじ】 9歳からの親友同士の、デイブ(自己中ダメ男)とアンドリュー(ひきこもり)。次々と襲い掛かる不幸に世の中のすべてが嫌になってしまったふたりの前に想像を絶する世界が現れる。 【感想】 「この世界がなくなっちゃったらイイナ!」という願望が叶っちゃった★ という、なんとものび太的発想の映画。 かの有名アイテム『独裁者スイッチ』を持ってしまったダメ男2人の友情物語とも言える。 「何も無い」世界は、自宅以外は真っ白な平原が延々と続いていて、一瞬ホラーの様相を呈するかに思えるのだが、主人公二人があまりにもバカすぎるのでギャグにしかならず。 途中でごくくだらない喧嘩をしたあげく、お互いの身体を消しあう二人。(←ネタバレ) 仲良く喧嘩しな♪の例をあげるまでもなく、お約束の仲直り&さらなる友情の深まりを経験したあとは、首だけになっても(←ネタバレ)俺とお前二人なら楽しく暮らせるぜ、きっと!という安直なエンディングへ。 いや、もしかしたらこれは彼ら二人の存在自体がホラーっていうオチなのか。 それとも増えていく引きこもりに対するアンチテーゼなのか。 家以外のすべてがなくなったとき、「ネットは繋がるのかな」と思った自分が一番負け組な気がしてならない今日このごろであります。 ■
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by mirimix2006
| 2006-08-22 21:58
| ナ行
2006年 07月 26日
![]() 出演: ジョン・キューザック, レイ・リオッタ 監督: ジェームズ・マンゴールド 【あらすじ】 激しい豪雨が降り続く夜、人里離れた一軒のモーテル。管理人ラリーがくつろいでいるところへ、ひとりの男が飛び込んでくる。彼、ジョージは息子ティミーを伴い、交通事故で大ケガをした妻アリスを運び込む。救助を要請しようとするが電話は不通だった。アリスをはねたのは女優キャロラインの運転手で元警官のエド。彼は病院へ向け車を走らせるが、途中で立ち往生し、やむなくモーテルへ引き返すことに…。ある時、ある一室で、既に死刑判決の下った事件について再審理が行われようとしている。ポイントとなっているのは、その事件の連続殺人犯である囚人が書いた日記だった。 【感想】 なんかありがちなシナリオなんだよなあ……。 『コントロール 』となんとなく被る。 たしかにびっくりはするんだけど、なんとなく騙されたような気にもなる。 あーなるほどね!という感想しか出てこないというか。大オチはわからなかったけど、犯人はわかっちゃったしね。 (※通常ミステリだと滅多にないだろうという人物だけど、ホラー系ではありがち?) 精神病的なラストはもう飽きたよー。 ■
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by mirimix2006
| 2006-07-26 14:24
| ア行
2006年 07月 26日
自分を失い、狂気の世界に足を踏み入れていく主人公の姿を描いた心理サスペンス。不眠症に悩むエドは、夜中に目を覚ますと妻がいないことを知り一気に不安を募らせる。精神的にも肉体的にも追い詰められたエドの周囲で、不可解な出来事が起こり始め…。
【感想】 なんか微妙。 よくあるシナリオで意外性もないし…。 ■
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by mirimix2006
| 2006-07-26 14:23
| ラ行
2006年 06月 06日
![]() 出演: ヒース・レジャー, ジェイク・ギレンホール 監督: アン・リー 【あらすじ】 60年代のアメリカ西部を舞台に、ふたりのカウボーイの20年以上にもわたる禁断の愛を描く。 【感想】 死ぬほど萌えた。 正直、近頃量産されている、男とも女ともつかない生き物がいちゃいちゃしてるBLなんかよりよっぽど胸がきゅんとする。 ゲイものっていうのは後ろめたさがないとダメなんですよ! 「俺、お前のこと好きなんだ☆」「えー実は僕も……☆」とかそういうのぜんっぜんトキメかないんで、早急に撤廃していただきたい。 閑話休題。 普通っぽい、どこか純朴そうな男二人が激しい愛に身を焦がすところがいい。 ひと夏の間違いで終わるなら少女漫画的だけど、この映画では二人の関係は20年にもわたる。 その間、二人とも結婚もするし子供も出来る。きれい事だけではない。不倫のごたごたもあるし、感情のすれ違いからくる暴力シーンもある。 お互いの位置も変化する。 一人は社会的な地位を築き上げ、もう一人は田舎で細々と暮らしている。 大人の男だから、愛だけで生きていけるわけはない。生活に対するいらだちもある。 そんな中で、二人の愛だけは変わらない。あの夏、ブロークバック・マウンテンで過ごした日々の情熱が色あせることはない。 会えるのは年に2回くらいなのに! 久しぶりに会った二人が待ちきれずに自宅の裏でキスを交わすシーンが印象的。奥さん見てますよ!うかつすぎ! これが男女だと生臭く感じる部分もあるのかもしれない。男同士だからこそ、私には純粋さが際だって見えた。 しかし映画館では、しょっちゅう笑いが起こっていた。 なんでだ。 ノーマルな男達には笑えるのか……。 解せん。 ■
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by mirimix2006
| 2006-06-06 00:10
| ハ行
2006年 06月 06日
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